Archives


2022.06.11「表現者のためのLGBTQ勉強会

 

 

展覧会「例えば(天気の話をするように痛みについて話せれば)」関連企画「表現者のためのLGBTQ勉強会」無事に終了しました。お越しくださった皆さま、勉強会主宰者の和田さん、またアーツセンターあきたのスタッフや大学院助手など関係者の皆さま、大変ありがとうございました!

 

まず、この勉強会は主催者・参加者双方の安全性を担保しなければ作り出せなかったということ、これはBIYONG POINTの場所の立地と俳優の和田華子さんが2019年より自主的に行っている「俳優・劇作家・演出家・制作者に向けたLGBTQ勉強会」を、今回は秋田公立美大の学生や教職員を中心とした多様な参加者を想定し、「表現者のためのLGBTQ勉強会」という名前で、和田さんを秋田にお呼びし行っていただきました(東北での開催は初めてだそう)。

 

展覧会メンバーが以前からSNSを通じて和田さんのご活動を拝見しており、和田さんご自身が普段身を置かれている演劇界・映像界の環境をよくしていこうという思いのもと行なっているということに、同じ“表現者”として共感するとともに、その姿勢から学ばなければならないことも多くあると考えました。

私たち自身も、自分の身近な周りの環境から変えていかなければならないと改めて気付かされました。

 

本展は、「自身の加害性を自覚することは可能か」を出発点に、近年、特にSNS上では、トランスジェンダーに対する差別や間違った知識や情報が数多く見られるという状況に対する怒りや、現実を少しでも生きやすくしていくためにはどうしたらいいのか、展示をする中で3人で話し合いながら作った展示です。

展覧会を行うだけではなく、さらに正しい知識を学ぶ機会を作るということは、本展の準備中から考えていたことでした。

また、ジェンダー学などの研究者や大学教授といった肩書きの方をお呼びするのではなく、参加者とフラットに同じ目線で話してくださる方、私たちと同じ“表現者”であるということなど、さまざまな理由から今回和田さんにお声がけさせていただきました。

 

 

勉強会は、和田さん自身の発する言葉一つ一つ、ニュアンスや話し方など全てに心くばりがされたものであるということを感じました。ユーモアも交えながら話される例え話は、LGBTQに関することを知らない人にとっても、とても分かりやすく、あっという間の3時間半でした。

 

「理解を深めるということは良心の問題ではないということ」

「浅くても良いから正しい知識を持つこと」

この2つは勉強会の冒頭で話されていたことですが、その際の例え話として、もし自分の子どもを誰かに預けなければならないとなった時に「子どもがすごい好きだけどオムツの替え方など育児に関しての知識や経験がない人」と、「前者の人ほど子ども好きではないにしろ、育児の経験などがあり知識を有している人」だったらどちらに預けますか?という話をされていました(なんと分かりやすい・・・!)。

 

当事者にならないと受けた痛みは分からないかもしれないけど、正しい知識や現状について知ることで当事者じゃなくてもその痛みについて共に考えることはできるのではないか、本展を準備しながら考えていたことと、勉強会で共有された内容がリンクしました。

 

私自身会場の後ろから参加者の方がとても熱心に勉強会に参加されてる様子や、和田さんの背後にところどころ剥き出しの壁が視界に入ることで、現状の辛さ、特に自分自身の身体の決定権が自分にないという問題の残酷さということが身に染みる思いでした。

和田さんが作品を見た後にご自身の出演されていた舞台の戯曲を元にされていたテーブルの話(つきたくないテーブルにつかされるということの暴力性や”話し合い”がそもそも”良いこと"とされ、大事なのは話し合いの内容なのに話し合いをしたということが良しとされてしまう危険性など)がとても印象に残っています。

 

権威を持っている方たちにこそこの勉強会の内容を伝えたいですし、ジェンダーをテーマに行うトークやレクチャーなどの参加者のジェンダーバランスについても今後どうしたらいいのか考えていきたいです(シス男性があまりにも少ないように個人的には思えてしまいました)。

 

たくさんの方のご協力のおかげでとても素晴らしい勉強会になりました。

 

 

(文章:櫻井莉菜)